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 「福島の子どもを招きたい! 明石プロジェクト」が主催する「たこ焼きキャンプ」のブログ


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11月27日、明石市生涯学習センターにて、2016年のたこ焼きキャンプ講演会を開催しました!

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講師は、福島県いわき市からお越しいただいた、里見喜生さん。

◆里見喜生さんプロフィール◆
福島県いわき湯本温泉旅館古滝屋(ふるたきや)16代目。
2011年11月『NPOふよう土2100』を設立し、障害を持つ子どもとその家族の支援活動や原子力災害の影響を様々に考察するスタディツアーなどに取り組む。
いわき市の有志とともに『おてんとSUN企業組合』を立ち上げ、綿花栽培販売、手作り太陽光、有機農業を通し、衣食住の自立を提案。観光業を卒業し、<未来づくり業>を目指す。


講演会前夜には、里見さんのささやかな歓迎会を開きました。 ここでもいろいろなお話を聴くことができました。(前列向かって右端が里見さんです!)
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講演会当日。
雨天にもかかわらず、会場にはたくさんの方が詰めかけてくださいました。
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たこキャンコーナーではグッズ販売。ほかにもいろいろなブースが出ています。
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主催者あいさつのあと、里見喜生さんのお話がはじまりました。
里見さんの経営される「古滝屋」は、元禄時代創業。いわき市湯本温泉で320年以上続く老舗旅館です。
2011年の震災までは400人の従業員をかかえ、小名浜の新鮮な海の幸と温泉でたくさんのお客をもてなしていた古滝屋さん。しかし震災で建物は損傷し、多くの従業員は津波と原発事故のために離散してしまいます。4000人にのぼる予約もすべてキャンセルとなり、営業再開のめども立たず、一時は廃業も覚悟したほどだったといいます。
そして1年以上の休業をへて、古滝屋は規模を縮小して再スタート。現在は素泊まりの温泉旅館として被災地訪問の顧客も受けいれるとともに、里見さんご自身は障害者サポートや地域振興、スタディツアーなど、震災後に始めた幅広い活動を展開しておられます。

やわらかな語り口で、5年半前の震災から今にいたる被災地の様子を話してくださった里見喜生さん。
しかしそのお話の内容は、さまざまな厳しい現状を伝えていました。
以下、里見さんの講演内容を要約してお伝えします。

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◆里見さん講演要約◆
東日本大震災、そして福島第一原発の事故によって、16万人が避難生活を余儀なくされた。現在は8万人と半減しているが、それでも5年半以上たってまだこれだけの人が故郷に帰れずに暮らしている現実がある。
原発事故当時、みんな状況がわからず着の身着のまま逃げた。場合によっては高濃度の放射能汚染が広がる方面へと、誘導されるまま避難した。
数時間の避難だと思い、何も持たず、ペットや家畜も置いて逃げ、それからずっと帰れなかった人も多い。餓死した動物たちの写真などを報道で見た方もいると思う。

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(会場で配った地元の新聞『福島民報』『福島民友』を開くよう促して)
福島の新聞には原発事故以来毎日欠かさず、県内各地のモニタリングポストの放射線量がびっしりと掲載されている。そして、同じページには毎日「県内死者」がカウントされている。
  ●直接死 1,604名 → これは主に津波による死者で、ずっと数は不変。
  ●関連死 → 震災と原子力災害に関連した死者のこと。長期の避難生活や劣悪な環境、先の見えない状況、家族離散、故郷の喪失等で心身の状態を崩して亡くなった方たち。
     平成27年5月 1,894名
     平成28年1月 2,007名
     平成28年11月 2,082名
関連死の数は増え続けている。しかしこれは単なるカウントに過ぎず、そこにはひとりひとりの大切な暮らし、人生がある。
そして震災後の県内自殺者はこれまでに約80名。一時帰宅の際に焼身自殺した方や、100歳を超える高齢者が避難先で「帰りたい」と訴えた後に命を絶ったということもあった。遺族が提訴して東電に勝訴したケースはわずか一件。

福島第一原発の現状としては、汚染水問題の先がまったく見えない。タンクもほぼ限界、凍土壁などの対策も失敗続きで、汚染水の排出を止めることができない。
除染ではがした表土や刈り取った植物などの放射性廃棄物の行き先についても、それらを詰めたフレコンバッグをとりあえず置くための仮置き場が、すでに満杯で手立てがない状態になっている。仮置き場の前段階の《仮・仮置き場》として、除染後は自宅の庭先等に放射性廃棄物を置きつづけているケースも多く、この《仮・仮置き場》は一時県内で5万か所を数えた。
原発を動かすということは、自分たちが手に負えないものを生成し続けるということ。燃料デブリを取りだすこと自体、世界で成功例がない。事故後5年8か月たってようやく実験が始まったところで、工程表では2020年に燃料デブリを取り出すという当初の予定がすでに2025年に延期され、それ以外の廃炉作業については予定すら立てられない部分も多い。
こんな現状だが、震災前はいわきでも子どものころからみんな東電のパビリオンに連れて行かれ、原発の安全神話が浸透していた。原発は空気のような存在で、原発に反対する人は変人扱いされた。けれど、その人たちの方が正しかったということ。

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立ち入りを禁止されている警戒区域では、放置された牛やイノブタ、キジなどが生息している。動物たちの中には、放射能汚染されているという理由で駆除されているものも多い。動物はただ懸命に生きているだけなのに、人間の作った原発のために殺されている。
私は原発事故を機に、私たちはぜいたくや便利ばかりを追求してきたのではないかと考えるようになった。今後の生き方を変えていくために、私は《衣食住》に注目した。その一歩として、いわきの子どもたちと一緒にオーガニックコットン作りを始めている。自分たちで植えた綿花を収穫し、糸につむぎ、Tシャツに仕立ててもらう。そういう体験をすることで、生産者への感謝が生まれ、自分への自信も育つ。

(会場に展示した、いわきの子どもたちが作ったオーガニックコットン製品など)
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未来の子どもたちのために、このほかにもさまざまな取り組みをすすめており、また古滝屋を拠点に被災地をめぐるスタディツアーもおこなっている。これまでに延べ3,200人以上の方を、いわき周辺の津波被災地や警戒区域の近くなどに案内し、震災の影響を直接感じてもらう体験を提供してきた。ぜひ今後もたくさんの方に参加してもらいたい。
また、震災後の早い時期から、避難所などで過ごすことがむずかしい発達障害などの子どもたちを抱えてお母さんたちが疲弊していくのを見かね、一軒家を借りて子どもたちの一時預かりを始めた。これが今おこなっている、障害のある子たちの放課後デイサービスなどの事業につながっている。
自分たちの世代で何かをなしとげられなくても、未来への土になりたい。その思いで「ふよう土2100」という団体名をつけた。たこ焼きキャンプのような保養キャンプも、被災地の子どもたちにとって大切な存在。遠く離れた地域同士がお互いに知り合い、いつかまた助け合うときが来るかもしれない。

(講演要約終了。古滝屋HPはこちらを、「ふよう土2100」HPはこちらをクリックしてください)

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*****
関西にいるとなかなか見えてこない被災地の今。
震災から5年半以上がたち、ともすれば被災地のことを忘れがちになっている人も多いのではないでしょうか。
里見さんのお話は、震災のそのときから現在までをわかりやすくたどり、ご自分の体験したこと、考えたことを自らのことばで真摯に私たちに伝えてくださるものでした。
ふるさとの再生と未来にむけて、実に多方面にわたって活躍されている里見さん。重く複雑な現実の中にあってその軽やかな自然体の姿勢にも、今回とても感銘を受けました。

講演後、里見さんに今回同行してきた《りんごちゃん》こと榊裕美さんのお話もお聴きすることができました。
榊さんは、震災後ずっと被災地に通い、一時は古滝屋に泊まり込みながら現地のたくさんの方と知り合い、その話に耳を傾けてこられました。表面的なつきあいでは見えない、被災者の方たちの複雑な思い。それらをそっと受けとめてきたからこそ、急いで解決を求めるのではなく、ともにいることを大切にしたい。そんなまっすぐな思いが伝わってきました。
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質疑応答のあと、神戸で避難者支援にたずさわってこられた「みちのくだんわ室」主催の石東直子さんにスピーチをしていただきました。
震災の年の6月からずっと毎月一回開催し、神戸周辺の避難者親子の心のよりどころとなってきた「みちのくだんわ室」。一定の役割を終えたということでこの秋「だんわ室」は終了しましたが、これからもずっと被災者とともに歩いていきたいとのお話でした。
これまでの総集編ともいえる冊子「みちのくだんわ室3」。避難してきた親子の道のり、被災地へ戻る選択、葛藤、たくさんの思いがつづられています。(冊子をご希望の方はこちらをクリックして案内をご覧ください)

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最後に、たこキャンより今年のキャンプの報告をさせていただきました。
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今回ボランティアとして子どもたちとキャンプ期間を過ごした学生さん二人が、その経験から得た思いを語りました。子どもたちも、そしてそこにかかわる若者も大人たちも、ともにたくさんの成長をしているんだなあと胸がじんとしました。
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今回は、ふるさとが被災地となり、そこで活動されている里見さん、被災地に通い続ける榊さん、神戸で避難者を支える石東さん、そして被災地の子どもたちを受けいれて保養をおこなう私たちたこ焼きキャンプ、とそれぞれ異なる立場の人々がいて、まるで《幕の内弁当》のような色とりどりの集いとなりました。
そして、会場に足を運んでくださった80人近い方々もそれぞれの立場から、被災地に思いを寄せておられることと思います。こうした機会に生まれるつながりが、ここからまたやわらかく広がっていくよう願っています。

遠くからお越しいただき、貴重なお話を聴かせてくださった里見喜生さん、榊裕美さん、ほんとうにありがとうございました!
そしてスピーチをいただいた石東直子さんはじめ、会場にお越しくださったすべてのみなさんに心からお礼申し上げます。

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翌日11月28日には、里見さんと榊さんは高槻へ移動。クロスパル高槻にて、関西の保養団体「ほようかんさい」主催の講演会がおこなわれました。
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「ゆっくりすっぺin関西」代表の宇野田陽子さんの被災地での現状についてのお話も聴くことができ、こちらもまた熱気のあるすばらしい集まりになりました。
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里見さん、榊さん、ほんとうにお疲れさまでした!
さて、来月はたこキャン同窓会@二本松。
これからもたこ焼きキャンプへのご支援、どうぞよろしくお願いします!


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by takocamp | 2016-11-30 23:20 | イベント・講演会 | Comments(0)