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 「福島の子どもを招きたい! 明石プロジェクト」が主催する「たこ焼きキャンプ」のブログ


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吉野裕之さん講演録「福島で希望を持ち続けるために~今、子どもたちのために取り組むべきこと~」(後半)

6月8日に「須磨の家 ふくふく」で開催した、たこ焼きキャンプ講演会の内容の後半ををお伝えします。
(前半の内容については、前記事をお読みください→こちらをクリック


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《支援法、移動教室、NPOとの連携》
そんな中で出来てきたのが、「原発事故子ども・被災者支援法」という法律です。みなさんもお聞きになったことがあるかもしれませんが、とってもいい法律なんですね。
●災害に関する正確な情報を提供するということ
●被災者が在住も移動も帰還も自分の意思でおこなえるよう適切に支援するということ
●放射線の健康上の不安が解消されるように最大限の努力をすること
●いわれなき差別が発生しないようにすること
●子ども・妊婦に対する特別の配慮
●被災者が支援が必要だと感じている限り、確実に支援が実施される

でも、この法律の実施はなかなか進んでないんですね。

今、被災地の子どもたちに必要なのは、
●自然と触れ合う時間
●体力・免疫力の向上
●精神的な安らぎを得る
ということだと思います。
好奇心をもって自然に親しむこと、様々な人との交流を通じて、支えてもらっているんだなあという安心感があると、ほかの人も大事にしようという心が生まれ、自己肯定感も芽生えてくるのではないかと思います。
こういう取り組みを、民間だけじゃなくて「移動教室」という形でやりたいというのが、僕たちの究極的な目標なんです。
つまり、意識のある親だけが子どもを保養に送り出すということになると、どうしても公平な参加の機会が持てなくなってしまう。情報格差もあります。なので、学校のカリキュラムを持ち出す形で「移動教室」を実施する。そうすると全員参加できる、ということになります。

福島市内の小学校の特別支援学級の子どもたちを宮城県への移動教室へ連れて行きました。広いアスレチックで思い切り遊んで、ボートに乗せてもらって、みんなでごはんを作って…あまりに楽しくて、帰ったあとで子どもたちがその思い出を作品にしました。それが福島市で賞をとったんです。評価されたことも、子どもたちはすごく喜んでいたみたいです。

また、伊達市の移動教室では、今回初めて、山形県の河北町というところで受け入れをしてもらいました。河北町の学校の空き教室をお借りして授業をし、交流のつどいをやってもらったり、一緒に給食を食べたり、ここでないと体験できないスポーツ(カヌー)をやったりと、4泊5日のプログラムでした。
これをやってわかったことは、温かな交流や児童の成長がすごく目に見えたということです。教職員同士も隣県でいろいろな刺激を受け合い、その点も大変よかったということでした。
受けいれた側の学校も、困ったときは助け合うということが実感できて子どもたちにもいい学びになったということで、来年度もぜひ来てほしいといわれています。
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そして、今回NPOが橋渡しをしてくれてすごくスムーズだったという実感があることが、実は大きいんですね。(こういう取り組みを)教育委員会が自ら手を上げて、調査して、調整して…とやっていたら、とてもじゃないけど実現できない。普段でも忙しい学校の先生方にやってくれといってもそれは無理です。
受け入れ側のNPOと、地元の僕たちNPOが協力して、先方の行政のアドバイスもいただきながら、こんなことが可能ですよというのを伊達市に提案したんですね。で、伊達市がやりたいことと調整することで、スムーズに移動教室が実現できた、ということです。
あとは、担任の先生たちの負担を減らすために、生活面でのサポートはわれわれNPOがボランティアで行って、子どもたちと一緒に寝て、世話もして、ということをやった。
そうすると学校の先生たちはゆっくり休めるので、次の日の学習に備えることができた。
役割分担をしてタッグを組むことで、移動教室を有効にできる。このやり方を全国的にぜひやってほしいなあと思っています。

それについて、なんと幸運なことに、文科省から予算がついたんですね。
2011年からずっと、「ローテーション保養」をやってほしいと言い続けていたんですけど、やはり法律を作って予算をつけるところまで時間がかかったようで、3年かかりました。
「福島県の子供たちを対象とする自然体験・交流活動支援事業(ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業)」ということで、これは文科省のホームページにも、福島県のホームページにも出ています。
福島の子どもたちが自然体験や交流をおこなう場合、県外でもオッケーだという、これは初めてのことです。
ただ、ハードルがものすごく高いんですね。6泊7日以上じゃないとダメっていう…。これが非常にきびしい。(学校が主体となる移動教室のみ3泊4日以上でOK)また、この「ふくしまっ子~」を主催できるのはあくまでも福島県内の団体なんです。福島県内の市町村、市町村教育員会、PTAの学年行事、スポーツ少年団、育成会、学童保育、あと社会教育をうたっているNPO。で、自分のところの会員向けにやりなさいと。公募しちゃダメだよと。

会員向けの年間事業であればやっていいですよ、ということになってるんですけど、じゃ誰が一緒に行く?となったときに、学童の指導員さんや学校の先生だと、いろいろ難しい制度的な問題があるんですね。
スポーツ少年団の指導員はふだんはサラリーマンであるとか、そういうことだと、誰が責任を持って主催して引率するのか、というと、、、今みんな尻込みしてしまってる状況なんですね。
そこを、僕たちNPOなどが参加してかかわりながら、みんなで力を合わせてなんとかやっていけませんかということを、今年度からやっと始められるわけですが、当初想定していなかった6泊7日という条件は、民間には非常に高いハードルが設けられてしまいました。
これは反省材料で、来年度はぜひそのへんを改善してほしいなと思っています。

そして、この「ふくしまっ子自然体験・交流活動支援事業」について、すでに民間の保養プログラムのデータベースとして「ほよ~ん相談会」という、たくさんの方々がかかわって作って下さったサイトに、情報を一元化していくといいかなと思います。
すでに「ほよ~ん相談会」のサイトに掲載されている保養プログラムには、「ふくしまっ子…」が対象可能かどうかや、対象になる可能性があるのでご相談ください、というマークがつくようになっています。このように行政と民間とが連携していくための仕組みづくりが、すでに始まっています。

ほよ~ん相談会
http://hoyou.isshin.cc/


《被災地で、今必要とされる子ども支援》
やはり一番の問題は、生活環境における子どもたち目線での放射線量測定を実は誰もしていないということ。学校などでは地上50㎝で測ったデータを発表してますけど、50㎝以下は公表していないです。もっと低いところで測らないと、子どもたちが影響を受けるリスクは本当にはわからない。
ただ、ようやく最近道路の除染が始まりました。お散歩や外歩きができるようになると、五感を養うことができます。
しかし、測れば測るほど、自然の豊かなところほど汚染されてることがわかってしまうのです。たとえば、河川敷とか、いつも遊んでた草原や林とか。そういうところは全面手つかずで、とてもじゃないけど入ってはいけないことが(線量を測れば)確認できます。そういう自然のあるところで遊びたいときには、非汚染地域までお出かけしないと無理ということがわかるわけですよね。
だから保養プログラムが大事だということも、改めてわかるわけですね。

予防原則に立った健診というのはやっぱり非常に大事で、これは福島県だけに限らないことです。栃木県とか茨城県とか、ホットスポットはいっぱいあるので、そういうところの子どもたちもぜひ保養プログラムや健診の対象にしてほしいと思います。
また、今も避難したいと思っている方もいらっしゃるんですが、その方たちへの門戸が閉ざされてしまっている状況です。ぜひ、支援法に則って、避難したい、戻りたい、住み続けたいという人たちが、それぞれきちんとサポートされるようにしてほしいと思います。
そうすることで、被災地の子どもから失われてしまったかもしれないこの3年間というものはあるけれども、これから育つ子どもたちの子ども時代を、きちんと確保していけたらと考えています。


《はかる・知る・くらす》
ただ、ここで嫌な情報が入ってきています。「除染の目標値、倍に引き上げ協議」というニュースです。
環境庁と福島県内の自治体が今協議を始めたのが、0.23マイクロシーベルト毎時、つまり、一年間で1ミリシーベルトになる基準の見直しです。この基準というのが、とてもじゃないけど除染では達成できないということがもう明らかなんですね。で、その規制がすごくきびしいから、倍に緩めようという話なんです。0.4~0.6マイクロシーベルト毎時にしよう、ということなんですね。

この前行った福島県本宮市では、子どもたち全員がホールボディーカウンターを受けていますが、ホールボディーカウンターでは体重によって測れる内部被ばく量が変わるため、体重の低い子どもだと大人に比べて、おおまかな値しか測れないんです。
それなのに、本宮市では今年度何をしたかというと、これまで200ベクレルまでで基準越えの子どもがちらほら出ていたがために、検出限界値を300ベクレルに引き上げるんです。
さっきのと同じ話ですよ。300まで引き上げれば、内部被ばくの基準値を超える子どもはガクッと減って、もしかしたらいなくなるかもしれない。そうすると、この地域は安全ですというわけです。
同じことで、除染の目標値は0.23マイクロシーベルト毎時ではきびしいので、0.4~0.6で手を打とうということです。そうしたらもう自治体も除染しなくていいし、最初に紹介した877億円も除染に使わなくて済めば、国も助かるわけですよ。

というように、世の中は動いています。みなさんがやってくれている努力と、真逆なんです。
そういう厳しいところにわれわれがいる以上、次に何をしなきゃいけないかというと、これはぜひみなさん検索できる方はしていただきたいんですけど、「JCC2015」っていう取り組みがあります。
2015年の3月14日から、仙台をメイン会場に、国連の防災世界会議というのが開かれるんです。
阪神大震災を経て、世界の防災の基準は決まりました。その見直しが2015年です。それを、東日本大震災を受けた仙台でやろうということになったんです。この防災の世界会議に、原発のテーマが入らない予定なんです。
…すごいでしょう? これはあくまでも自然災害のための会議なので、原発事故は入りませんというわけですよ。
でも、われわれ福島県民としては、原発事故は自然災害が引き金を引いたものでもあるんだから、そこはぜひ入れてほしいと言っているんだけれども、入らないかもしれないという状況です。外務省もどうやら入れたくないらしくて、福島県も積極的ではないです。

でも、これで話題にもされなかったら、われわれ福島県民は何のために苦しんできたかわからない。
地震多発国のトルコに行って、安倍首相が原発を売る相談をしてきましたよね。そういうところの子どもたちに対し、今緩められようとしている除染基準など、甘い基準と一緒に原発が輸出される危険は多分にあるんですよね。
ここで、仙台の防災世界会議で、福島の教訓を生かしてもらわなかったらしょうがないでしょうということで、主要な国際NGOが音頭をとって、会議を開いてくれることになるんです。これは国連の会議のメインテーマに入れてほしいというアプローチをあくまでしつつも、それがもし無理でもサイドイベント的に、国際NGOとか民間団体が集まって、福島の教訓を世界に発信しようという場を設けようというふうに考えています。

チェルノブイリを例にすると、これからどんな健康被害がおこってくるかわからない。
1回ホールボディーカウンター受けると油断して、2回目3回目を受けようとしないことが多いですけど、これからが問題かもしれない。食べ物にしても、油断が蓄積を生んでしまう可能性はあります。
福島県内の新聞には、今も原発事故関係の記事が紙面を多く占めていて、たとえば中間貯蔵施設に放射性廃棄物を運搬する車をどんな基準で高速道路を走らせるかなど、どこまでチェックできるのかわからない話が絶えません。
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理路整然と測るということができれば、可能な範囲で暮らしも守れるし、保養に出る必要もわかる。
日常生活でどういうことに気をつけなければいけないかをくわしく書いた「はかる・知る・くらす」という冊子ができたのですが、チェルノブイリ事故後に現地で子どもたちの手術に多く携わった菅谷昭さん(現・松本市長)のお話や、放射能測定の専門家のお話なども載っています。この冊子は3万部作られ、無料で配布されています。(注:この冊子「はかる・知る・くらす」についてはこちらをクリック
今回の被災地だけでなく、原発立地関連地域の方々にも、あらかじめ読んでおいていただければ、いざというときに参考になる。そのくらいの心づもりをしておかないと、(この原発の多い日本で、そして世界で)暮らせませんよね。ぜひ読んでいただきたいと思います。
子どもたちを守るために、これからもお力をお貸しいただけるとうれしいです。どうもありがとうございました。
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by takocamp | 2014-07-04 11:34 | たこ焼きキャンプ2014 | Comments(0)