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 「福島の子どもを招きたい! 明石プロジェクト」が主催する「たこ焼きキャンプ」のブログ


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たこ焼きキャンプ公開学習会(第二部)

昼食をはさんで、たこ焼きキャンプ公開学習会、第二部の始まりです。
第二部「たこキャン3年目にむけて~原発事故被災地の子どもたちと向き合ってきて」

たこ焼きキャンプも今年で3年目。
がむしゃらに立ち上げ、怒涛の勢いでやり切った1年目、最初の熱さを保ちつつ、また新たな試みをした2年目、そして今年は…? 
震災の衝撃が薄れ、被災地へ向ける人々の思いも次第にさめていることを実感するこの頃。
被災した場所に暮らす子どもたちを招く保養キャンプの役割は、むしろますます重要になっていると感じています。
第二部では、岡山で避難者支援とともに保養キャンプにもかかわっておられる、はっとりいくよさんとマスターこと小野との対談の形で、これからの保養キャンプについて考えました。お話の要旨を掲載します。

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避難者として、支援者として

【はっとりさん】   私は震災のとき東京に住んでいました。地震のすさまじさとともに、東京のパニックぶりを見て、もしもう一度同じくらいの地震が起きたら、東京から脱出できなくなるのではと実感しました。
原発については一応の知識があったので、事故直後からツイッターで危険を発信し続けました。
家は(放射線対策で)目貼りし、いろんなことに気をつけつつ、子ども第一にふだん通りの生活をこころがけました。春休みに名古屋の夫の実家に避難したときは、母子で口内炎だらけ、発熱、鼻血も止まらず、名古屋でも毎日飲むもの食べるもの総チェックで気持ちの休まることがなく、不安だらけでした。
夏休みに岡山に避難し、ほっとしたものの、一週間くらいは不安が抜けず何でもチェックする習慣がとまりませんでした。東京に家族や友人を残してきてしまったという思いはずっとあります。
私はいろいろな活動をして動いてきたので、まだ気持ちがまぎれているところがありますが、避難しているお母さんたちは生活のこと、お金のこと、さまざまな悩み、不安でいっぱいです。
私も避難当時の精神的なつらさは、今でも思い出したくないほどです。ともかく子どものことを考えて、どう行動するかを決めるしかありませんでした。
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岡山に避難してきている人は非常に多くて、総務省に登録されているのは950人ほどですが、ある地域で避難してこられている方10人にお聞きしたら、避難者として登録している方は1人しかいませんでした。ですから、もっとたくさんおられると思います。
岡山は行政も避難者支援に力を入れていて、避難者自身が立ち上げた「子ども未来・愛ネットワーク」など、いくつもの民間団体が行政とも協力しながら活動しています。
第一部でお話しした「原発事故子ども・被災者支援法」についても、この1月に岡山でフォーラムを開き、復興庁の担当者を呼んで対話の場を開きました。
(注:ちょうどこの日、朝日新聞で岡山の避難者支援が一面で紹介されていました。こちらをご覧ください



保養を通してつながる

【マスター】   たこ焼きキャンプのスタッフも含め、この5月に「南会津交流会」を開きました。これは関西にたくさんできている保養キャンプ団体と、福島周辺の親子とが出会い、お互いに意見を出し合って今後の保養について語り合おうという交流会だったのですが、非常に盛況で、たくさんの意見が出されました。今日は資料として、その話し合いの記録をみなさんにお配りしています。
これを読むと、現地では放射線の心配を口に出せない雰囲気があり、苦しんでいる親御さんが多い。その一方で、つながりを広げ、被ばくについての勉強会をやったり交流したりと活動している親御さんもいることがわかります。

【はっとりさん】   ちょうど、いわきと二本松の保養相談会に行ってきたばかりです。やっぱり、顔と顔を合わせて話すということは大事ですね。何度も相談会に行くうち、顔見知りの方も増えますし、こういう場の必要性を感じます。
最近、山形県などから数千人規模の避難者が福島県内に戻ってきていることがわかり、そのお母さんたちから、関西の安全な野菜を買いたいという声が出ています。数人のお母さんたちがグループを作って、野菜を購入する動きも出ています。現地にあるこういう小さなグループをサポートしていくことが、これから大切だと思います。

【マスター】   福島に行くと、毎日ラジオで天気予報のあとに、あたり前のように各地の放射線量を伝えていますよね。そんな中で、ふつうの生活が営まれている。今も、保養の存在自体を知らない人もいる。

【はっとりさん】   必要なところに、情報が行っていないんですよね。
岡山県は「福島県の子どもたち元気回復事業」というのを教育委員会がやっていて、同じようなものは去年まで長野県にもあったんですが、今は岡山だけだと思います。これは、福島県の親子なら誰でも、県内にいても避難していても、岡山の宿泊施設に食事代も込みで無料で泊まれるんです。
岡山県内では、津山市も「ふくしまっ子 津山でのびのび元気事業」という、やはり市内の宿泊施設が無料になるというのを教育委員会がやっています。
(「福島県の子どもたち元気回復事業」の内容はここをクリック、「ふくしまっ子 津山でのびのび元気事業」の内容はここをクリックしてご覧ください)
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保養を続けていくために必要なこと

【マスター】   「南会津交流会」のアンケートで、あるお母さんからずばりと「いつまでキャンプを続けていただけますか」という質問がきました。保養に出す側からすれば、いったいいつまでやってもらえるのか、というのは切実な問題です。一方で、保養キャンプをやる側は1年ごとにとにかく必死でやっている。資金繰りも大変です。

【はっとりさん】   たとえば保養キャンプに行って、そこで何か不満があったり、食に関して不安があったりしても、「してもらっている」立場として、その場では直接言いにくいんですよね。だから現地に戻ってから周りに言ってしまう。
こういう問題を解決するには、保養についての相談センターのようなものがあればいいと思います。保養選びで、いつも心が休まらないお母さんもいます。また、中にはクレーマー的な人もいる。いろいろなケースにきめ細かく対応できるような相談センターがほしいです。

【マスター】   保養キャンプのこれからでいえば、田舎に夏休みに来てゆっくりしてもらうような、例年キャンプにしていくのが理想です。

【はっとりさん】   そうですね。10年20年と縁をつないでいくために、リピーターも大切にしたいです。とはいえ、そう思ってリピーターを待っていたら来なかったりするんですけど。(笑)

【マスター】   1年目、最初のたこ焼きキャンプのとき、結果的に申し込みが殺到して全員を受けいれられなかった。そのときの罪悪感がずっと残っていて、保養に来る親子と少しでもいい関係を作り、できるだけ多く受けいれたいと思っています。

【はっとりさん】   子どもだけ保養に出している場合、お母さんはずっと現地にい続けていて、いろんなことにがんじがらめになっていることが多いです。岡山に保養に来られた郡山のお母さんが、「もう郡山で被ばくの心配をしてるのは私だけだと思ってました」と涙されたことがあったんです。
できればお母さんも保養で外に出てみて、いろいろな気づきをしてほしいです。

【マスター】   そうですね。一度、外から客観的に見てもらう機会としても大切だと思います。

【はっとりさん】   「南会津交流会」の記録の中に、「福島の子どもたちにどう生きていってもらいたいかを考えている」という意見がありましたが、原発事故そのものはつらいことですけど、新たな人と人とのつながりを作って、これをプラスにしていきたいです。
そして、保養で県外に来ることで、避難への道すじができればうれしい。「避難は考えていません、保養だけ」と言っていたお母さんが、岡山に保養に来て変わったんです。その方は結局、親子で移住してこられました。
「支えてもらってもいいんだ」「本音を言っていいんだ」そう思えるようになって、何年かかっても心が動く可能性はある。決して無理強いせず、その人、その家族の選択を第一に、関係を作っていくことが大切だと思います。
今、たこ焼きキャンプのような保養キャンプが積み上げている実績は、支援法がきちんとできたあとも、モデルケースとして大切なものです。たこ焼きキャンプの活動をいつもすばらしいなと思って見ています。これからもつながりあってやっていきましょう。

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対談のあと、参加者の自己紹介をかねた質疑応答などがあり、終始なごやかな雰囲気で第二部も終了しました。
今回、参加者の中に福島県や北関東から避難されている方が複数おられ、ここで初めて出会われるという出来事もありました。


ご自身が避難者であり、母であり、同時に支援者であり、保養にもかかわっておられるという多角的な経験をお持ちのはっとりいくよさん。
常に前をしっかり見すえた、しなやかな聡明さを感じさせる方でした。そして一緒にお話ししていると元気になる、そんなパワーを発する女性でした。
お子さんたちを預けて岡山から来ていただき、貴重なお話をたくさん聞かせていただきました。
はっとりさん、本当にありがとうございました。
そして、お忙しい中、公開学習会に足を運んでくださったみなさんにも、心からお礼を申し上げます。
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by takocamp | 2013-06-21 22:36 | たこ焼きキャンプ2013 | Comments(0)