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 「福島の子どもを招きたい! 明石プロジェクト」が主催する「たこ焼きキャンプ」のブログ


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たこ焼きキャンプ公開学習会(第一部)

6月16日、明石市生涯学習センターにて、たこ焼きキャンプの公開学習会を開催しました。
講師に岡山からお迎えしたのは、はっとりいくよさん。
はっとりさんは震災当時は東京在住。まだ小さかったお子さん二人を連れ、岡山に避難してすぐに、避難者支援の活動を開始されました。
「放射能から子どもを守る全国ネットワーク」を立ち上げ、原発被災地から岡山への避難をサポートするとともに、「311受入全国協議会」などで全国の支援団体をつなぐ活動もエネルギッシュに展開されています。
公開学習会は午前中に第一部、午後に第二部がおこなわれ、マスターこと小野が進行役を務めました。
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公開学習会、第一部は「原発事故子ども・被災者支援法について知ろう」
「原発事故子ども・被災者支援法」は昨年6月、与野党超党派の議員による議員立法で、国会で成立した法律です。(条文はこちらをクリックしてごらんください
この「支援法」は東京電力福島第一原発の事故によって被災した子どもや住民に「避難の権利」を認め、その健康や生活を支えることを目的に作られた画期的なものです。
しかし、この法律自体が一般にあまり知られていないだけでなく、法律の中身である具体的な施策がなかなか決まらないまま、立法以来一年が過ぎようとしています。そんな中、復興庁で「支援法」に直接かかわる官僚が、ツイッターで被災者や議員に対する中傷を繰り返していた問題が起きたばかりです。

第一部では、はっとりさんに「原発事故子ども・被災者支援法」についての解説と、この法律をめぐる動きについてお聞きしました。
(はっとりさん、今年のたこキャンTシャツを着てきてくださいました!よくお似合いです)
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(以下、はっとりさんのお話です)

すりかえられようとしている「基本方針」 

昨年6月にこの「支援法」が成立してから、具体的な中身について復興庁に対して被災者・避難者の要望を届けるため、何度も上京して陳情してきた。復興庁の担当者に避難先に来てもらい話し合うという試みもした。
しかし、支援法の「基本方針」が決まらないまま政権交代があり、この法律を支える議員連盟から自民党議員が抜けてしまった。そして、「基本方針」ではなく別の「パッケージ」(『原子力災害による被災者支援施策パッケージ~子どもをはじめとする自主避難者等の支援の拡充に向けて~』)が今年3月に発表され、この「パッケージ」ができたので支援法による具体的施策は必要ない、という動きが作られつつある。
「パッケージ」には被災をさまざまに狭く限定し、現状維持を正当化する内容が多く、非常に問題。そしてそんな中で例のツイッター事件が起きた。
しかし、3月・6月の全国自治体の議会で、支援法の「基本方針」を早期に成立するべきだという意見書が数多く出されている。岡山でも県に対して、「基本方針」の早期実現を求める陳情書を出した。



支援法の基本理念、そして問題点

「原発事故子ども・被災者支援法」には二つの基本理念がある。

基本理念1 「避難の権利」を認めた
被災者がそのまま現地に住み続ける権利、避難する権利、避難先から帰る権利、そのいずれもを認め、それを支援すると定めた。このことが明文化されたことは希望。
ただし、これを実際におこなうためには、多岐にわたる施策が必要となる。すでにこの問題については、多くの人と人との分断が起きている。理念だけでは解決しない。

基本理念2 健康被害の未然防止と医療費の減免
画期的な部分は、被ばくと疾病との因果関係の立証責任を、被災者が負わないという点。
広島・長崎の原爆でも、水俣病でも、被災の立証を被災者自身がしなければならないことが大きなネックとなってきた。この違いは非常に大きい。
問題点としては、
①子ども(胎児を含む)への放射線量を低減する、妊婦も含め健康のため特別な配慮をする、という内容が書かれているが、対象にもれが生じないようにどこまで範囲を限定するか、いつまで医療費を無料(または減免)するか、など明確な規定が必要。
②支援対象になる地域として、福島県内は無条件に対象となり、県外でも空間線量が年間1ミリシーベルト以上なら対象地域となる。しかし、空間線量だけが基準となるのはおかしい。土壌汚染もきちんと考慮する必要があり、事故直後のヨウ素被ばくなどについても、福島県外であっても北関東や宮城県など個別のケースを入れる必要がある。



ここが問題、「パッケージ」 

さきほど、支援法の「基本方針」に代わって出された「パッケージ」(『原子力災害による被災者支援施策パッケージ~子どもをはじめとする自主避難者等の支援の拡充に向けて~』)について触れたが、さらにくわしく見ていきたい。(『パッケージ』の内容はここをクリックしてご覧ください)
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まず、「パッケージ」の中で、すぐに実現しそうな部分。
①避難者を対象とした高速道路の無料化
これについては、母子で遠方に避難しているケースを考えると、お父さんが住んでいる被災地から妻と子どもに会いに遠距離を車で往復するのは非常に大変で、疲れて子どもと触れ合う時間も作れない。高速道路の無料化が、現実的にそれほど多くの避難者の助けになるとはいえない。
②子どもの室内遊び場の確保
これは《ハコモノ》を作るということで行政は得意分野。安全な遊び場が増えることはよいが、これが子どもたちを放射線量の高い被災地にとどめる口実となる危険がある。

「パッケージ」には支援法の理念がふまえられておらず、避難については具体的にほとんど書かれていない。中身の方向性が支援法とずれているにもかかわらず、これが《復興策》として使われる可能性がある。支援法の「基本方針」とはまったく異なっているという陳情を出したが、とりあわれない。



ツイッター事件は、いいきっかけ

支援法の中身は、各省庁に管轄が分かれており、そのひとつひとつの内容について、こちらは多くの省庁と交渉していかなければならない。まとめ役として復興庁があるわけだが、そこに今回のツイッター事件が起きた。
これを個人の問題として、マスコミのお祭りのように終わらせてはいけない。問題の本質を見てもらいたい。ツイートした官僚は、比較的真面目な対応であちこちを飛び回り仕事をしていた人。彼だけに問題があるのではなく、支援法にかかわる行政すべての姿勢が問われる。

「基本方針」が決まらないまま、すりかえがおこなわれようとしているこの頃では、支援法をすすめる活動をしている団体の中では「《『基本方針』を決めるための法律》を決めなければいけないのでは?」という話も出るほど。
次の参院選で支援法のこともどう動いていくか不安だが、ツイッター事件は一般の人に支援法を知ってもらえる、いいきっかけになったと思っている。

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続いて、参加者に質問を兼ねた自己紹介をしてもらいました。
参加者には、福島県内から明石周辺に避難・移住してこられた方も数人いらっしゃいました。
その中での、はっとりさんのお話を要約します。


私も避難者として、プライバシーを露出してきたので嫌な思いをすることも多い。避難者は、政治的に利用されたと感じることも時にはあると思う。だからといって対立するのではなく、対等な立場をこころがけていくことが大事。権利を主張してたたかうだけでなく、いろいろな形でやっていく必要がある。

福島県からは北海道や山形・新潟へ、北関東・東京からは西日本へ、という別方向の避難の流れがあり、大きく分かれている。それらをつなぐためにも「311受入全国協議会」などの機関がある。
今、避難者の中にはさまざまな深刻な問題も起きている。長く家族が離れていることにより、経済的、精神的なきしみが出てきている。避難者は追いつめられている。支援法の具体化を早く進めてほしい。
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たこ焼きキャンプのような保養の活動が、避難を進める邪魔になるのではないか、という声もあるが、そんなことはない。保養の対象は避難できない被災者であり、支援法がきちんと具体化すれば、保養にも予算がつく。体験的にも、保養は避難にもつながっている。

大きな集まりよりも、こういう小さな集まり、つながりで話す方が、思いが通じることが多い。
みなさんに言いたいのは、何ごとも情報を明らかにすることがまず大切だということ。その上で、それぞれの人の立場、意見、自由を守ることが必要。(逃げる/逃げない、食べる/食べない、戻る/戻らない、などすべてにおいて)


第一部はこれで終了しました。
「原発事故子ども・被災者支援法」について私たちがあまり知らなかったことを痛感し、はっとりさんのわかりやすいお話で、具体的な問題点がよく見えるようになりました。
硬い話題にもかかわらず、はっとりさんの終始気さくで、ポジティブなお話しぶりが印象的でした。

(次回、第二部に続きます!)
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by takocamp | 2013-06-20 16:49 | たこ焼きキャンプ2013 | Comments(0)