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明石であそぼう! たこ焼きキャンプ takocamp.exblog.jp

 「福島の子どもを招きたい! 明石プロジェクト」が主催する「たこ焼きキャンプ」のブログ


by takocamp

たこ焼きキャンプの食事担当スタッフ・石井さえ子さんへのインタビュー。

前編はさまざまな方から好評をいただきました。

大変お待たせしました! 

軽く年をまたいでしまいましたが(汗)、いよいよ後編をお届けします。

とても濃く深い、さえ子さんの語りをじっくりお楽しみください。


【インタビュー・編集 一海真紀】


◆《圧》がない理由◆

 さえ子さんは、子どものころは友だちの中ではどんな存在でしたか。

わりと何でも気づいて先回りしてやってあげることが多くて、みんなのお母さんみたい、と言われたり、お姉ちゃん的存在でした。でも少し大きくなってくると、「さえちゃんにばっかりやらせてる」ていうのがみんなの負担になるような気がしてきて、できることはやれるときに見えないようにサッとやる、みたいになりましたね。今何しといたらさっさと終われるかなとか、どうやったらうまく動かせるかを考える。せっかちがベースにあるんやと思います。

 でも、さえ子さんにはせっかちな人にありがちな、人への《圧》がないですよ。お料理のときを見てても。

それを感じさせたら終わりやと思ってて。もっとゆったりした気持ちで、みんな高速回転しろ、と思ってます(笑)。私、一番トップのせっかちですよ。効率化を生むことに燃えてます。

早いけどせかせかしてない、って言われることがあるんですけど、せかせかしてるのって、結局早くないんですよね。せかせかしてるだけで。

 なかなか深いですね、それ。

せかせかを感じさせてるようではまだまだ甘いなと(笑)。大人になる中で、あの人ってすごいなと思う人を見てきて、そういう人はバタバタしてない、スマートな動きをしてる。いかにスマートであるかって大事やなと思います。別にかっこよく、ということではなくて、ゆったりしたいときにもどこかをちゃんと動かしておかなかったら、ほんとにゆったりできないんですよね。

それはたこキャンの料理のときも思ってて、せかせかしたくないけど、みんながほんとの意味でのびやかな気持ちで動ける、工夫次第でそうできるんちゃうかなと。



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 たとえばたこキャンの料理の現場で、時間のリミットが迫って、人の手がいるけれど、その人がさえ子さんの思うような動きをしてくれない。そういうときは、イライラはしないんですか?

「あー」とは思うけど(笑)、イライラはしないですね。その人がやるペースの合間に、私がうまく入っていけばいい。餅つきスタイルみたいな(笑)。「この人のこのスピードを一番効率よく使うには」と考えます。もし間に合わんかったらしょうがない。イライラするのって私には、もったいないと思えるんです。その人に合わせた次の手を考えます。

 組み立ての先が見えてる人って、ともすれば自分の描いたようにならないと不安になって、人を手足のように使おうとすることが多いと思うんです。その結果、うまく手足にならないとイライラして《圧》をかけてしまう。さえ子さんがそうならないのは、何が理由だと思いますか?

ムダだと思うからですね。ムダがきらいなんです。達成すべきことをやる仲間を、余計な《圧》をかけて余計にトロくさせるなんて、私はめっちゃムダじゃないかと思うんです。

絶対間に合わへんってなったらもう、どう楽しく過ごすか。一緒に言い訳考えるとか(笑)、手を動かしながらそれをやっていく。

なるほど…。その人それぞれのペースやスピードがあって、それを誰かが自分の手足みたいに動かすことはできないというのは、あたりまえといえばあたりまえのことなんだけれど、実は認識されづらい。でもさえ子さんの中には、前提としてそれがあるということですよね。

そうですね。でもそれも、自分が変われば変わるかもしれないと思います。その人のペースが遅いとして、私ががんばって入っていって全体のペースが少しでも早くなったら、結果的にその人自身のスピードもちょっとだけ早くなるかもしれない。希望はあると思います。



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そこで相手に「早くしろ」というんじゃなくて、自分がスピードアップしてる姿を相手が見て、もしかしたら変わるかも、と考えるんですね。もしそこで相手が変わらなくても、それは《怒り》になったりしないんですか?

そうですね。でも態度にもよりますよね。努力してへんとか(笑)。「なんであんたに合わせなあかんねん」とか言われたら、「もう、一人でやるからどっか行ってこい!」(笑)てなります。

でも一生懸命やって、その人のベストを叩き出してるけどスピードが変わらないんやったら、それはしょうがない。

その人の一生懸命かどうか、がポイントなんですね。

そうですね。…で私は、「私はベストを叩きに行ってるけど、あなたはどう?」って思ってる。

それって、見えない最高の《圧》じゃないですか!(笑)

最高の《圧》やと思いますよ。それが人を動かすと思います。その人がポジティブな気持ちで、前向きに変わったとき、最高の《圧》がかけられたと思います。そこには自己成長があるかもしれない。

スピードが「遅い」と言われるとして、言われた人はその(要求される)スピードにならないといけないのか。損得勘定で見る人だったら、「自分ばっかりがんばってこんな早くやってるのに、あの人のせいで損をする」ってなる。…私、そういうのないんですよ。昔から、誰かと比べて「自分ばっかり〇〇して損」ていうのはなくて。同級生とかと話してても、なんで人と比べてそんなん言うんやろ、て思ってました。

私は「損する」ていうのじゃなくて、そういうことをしないと自分に厚みが出ん、て思ってるんですよ。人の分までやった上で、何を自分が感じるか。「やってやった」じゃなくて、人の分までやってそこから何を得るかで、人間ってやっと厚みが出てくるんちゃうかなと。18歳くらいの時にそんな話をして、周りはみんな、「?」て(笑)。

老成してますねえ。「厚み」!

大人になってきてやっと、当時通じなかった理由がわかってきました(笑)。なんでわからへんのやろ、損したと思うから損になるだけで、やればいいやん、て思ってて。やったらその分達成感もある。

でも、同じような環境にいてもそれぞれ受け止め方もとらえ方も全然違う。人と比べて考えるのが当たり前の人もいるんやなと。



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なるほど、確かに。誰かと比べて評価することって、多くの人にとっては普通のことになってますよね…。

一昨年から、さえ子さんがたこ焼きキャンプの食事作りを担うことになりましたね。コロナ前に比べて参加人数が大幅に減ったこともありますが、厨房の雰囲気が全然せわしなくないのに、ちゃんと調理は進んでるのが印象的でした。

なんか、「どうなっても大丈夫」て思ってるんですね。自分自身、経験して昔より機転はきくようになってるし、手伝ってくれてる人に「おやおや」ってことがあっても(笑)修正できる、「どうやってもおいしくなれる」と思うんです。料理の世界はけっこう《圧》があたりまえというか、人の口に入るものを作る責任はもちろんありつつも、私自身が《圧》をかけられるのは好きじゃないので。

 一昨年は、ふだんあまり料理をしないボランティアの男性2人がさえ子さんのアシスタントをしていて、ご本人たちは慣れない中で一生懸命、でもすごく楽しんで作業してたと思うんですね。それは、自分たちが否定されてないと感じさせるものが、さえ子さんにあるからだと思うんです。

Sさん(調理のアシスタントをした男性ボランティアのひとり)が「自分がやった」っていう実感と、「楽しい」っていう気持ちが持てて、あとSさんが家に帰っても同じことしてみようって思うといいなと思うんです。一品を作るときに「あれやって、これやって」って指示だけ出して、最後は私がまとめて、ということもできるんですけど、それだと《ひとつの作品を自分で作った感》がないやろうな、と。全部の料理を「さえ子さんが考えて、さえ子さんが作った」ていうんじゃなくて、これはSさんが自分の想いを持って作った―そういう実感というか達成感を持ってもらいたいと、これは今回やっていく中で考えたことですね。

私が楽しい、というのも大事で、人に《圧》をかけてると自分も楽しくない。調理場って女の人がやっぱり多いので、その中で誰が仕切るか、誰がリーダーか、みたいな特有の緊張感があって。その中で私が自分のスタイルでいると、責任感がないみたいに見られてしまうんですけど、そういう見せ方を(あえて)しているところもあります。誰が指示を出すか、とかじゃなくて、ふだんおしゃべりしてるときと変わらないやりとりをしながら料理をしていく。

横並びで、ともにやっていく感じですよね。上に立つものが材料の切り方とか細かく指示を出して「私の料理」にするために人を使う、ていう構図って多いと思うんです。でもたこキャンの調理はそれとはまったく違うということですよね。

そうですね。でも…私ってこう見えて、めっちゃ細かい人間なんですよ(笑)。見んでもいいとこまで(笑)よく見てるし。だから切り方にしても何にしても、適当にやってていいというんじゃなくて、「おいしくなる」っていう終着点がブレずにあって、最終的に私が回収できる範囲かどうか、ていうのはずっと見てます。回収できる自信も昔よりついてるし、これなら大丈夫、ていうのもわかるようになってきたと思います。



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◆料理は深い世界◆

 ふだんは自分の仕事として食の仕事をしつつ、これからもたこキャンで食事担当をしていってもらうわけですけど、たこキャンの食事でこれは大事にしたいと思っていることは何ですか?

「おいしい」と思ってもらえることですね。

「おいしいと思わせたい」じゃなくて、「おいしいと思ってもらえるか」がポイントです。私はこれが作りたい、とか、どう見せたい、とかないんです。楽しく食べてもらえること。

あらかじめ決めてたメニューとかを、たとえば当日に必要があれば崩すのも全然できます。 

 食べさせたい、おいしいと思わせたい、喜ばせたい…「~させたい」というのは、料理の世界にはすごくありますよね。

そうですね。私にもそういうのはあったと思います。(料理って)自分のよかれと思う気持ちで人を傷つけたりとか、そういうことがしてしまえる。

 ―そうですね。一見、「よかれと思う気持ちで人を傷つける」という行為と、料理というものは言葉としては遠いようだけど、実はすごく近い気がします。

近いですね。そういうパターンっていうのは自分の中にもあります。

 人の口に入るものを自分が作って、食べるところまで見届けるというのは、多くの人があたりまえに、たとえば母親とかがやっていることだけれど、それが人を傷つけることにもなり得るというのは、作り手の感情やエネルギーまでそこに込められた上で、相手の口に入れるからなのかもしれないですね。

そうですよね。昔の、生きるか死ぬかの時代の「料理する」「食べる」ていうことと、今の時代とはずいぶん違うと思います。お母さんは自分の料理が残されると、自分が否定されたような気持になってしまう。根深い世界やなと思います。まるで自分を(料理に)置き換えるみたいな…。なんかたぶん、ずれるんでしょうね、目的が。

意図がずれると、傷しか生まない。そこが整理できてると、料理が残っても「残された」っていう攻撃的なとらえ方じゃなくて、単に残ったら困るからどうするか、ていうことになる。

なんで自分がそう感じるかを考えて、あと残った料理をどうするかのすべが自分にあれば、変わってくるし、道があると思うんです。

 アレルギーのある子が参加した場合、その子だけ別のものを食べさせるのではなくて、その子も含めてみんなが食べられるものを用意する、という考え方が今年実践されて、とても新鮮に感じました。除外するのではなく、全員が安心して食べられる状況を作るというのが。

私がそもそも食の仕事を始めたのがヴィーガン料理で、いろんな理由で食べられないものを除去して、それでもおいしく食べられるようにする、ていうのがコンセプトやったんですよ。誰かが我慢するんじゃなくて、みんなが満ち足りて同じものを食べられるっていう。

ただ、それが私の中でちょっとずつ変わってきて、日本って《同じ釜の飯を食べる》っていうことに価値を見出して、みんな同じなのをよしとする。でも、同じテーブルについて、みんな別々のものを食べていても平和は平和。日本ではもうちょっと先のことになるかもしれないけど、海外では個人がそれぞれ食べるものを選んで、人と同じじゃなくても抵抗がなくて、認め合ってる。そういうスタイルで人を受けいれていくことの方が大事、ていうふうに(自分の考えが)変わってきたかなと。同じである必要はない。そう考えると、アレルギーのある子でもそうじゃない子も自分に合ったものを選んで食べるのがふつうになったらいい。

ただ、今のたこキャンでは(みんなが同じものを食べる設定が)安全で現場的に楽やからそうなった、ということやと思うんです。もちろん、一緒に食べられるっていううれしさはあったと思うし。だから、今年そういうふうにしたことについては、私の中では特別感はないんですよ。

「今日はアレルギーのお友だちがいるけど、さあみんなで同じものを食べましょう!」みたいなことになったら元も子もないなと。たぶんアレルギー除去食っておいしくないというイメージがあるから、実はおいしいんやと知ってもらうことも大事やと思うんですけど、「(除去食だけど)おいしい」って言わせたいわけじゃなくて、要は何を伝えたいかやと思うんです。だから、今年はこういう形になったし、実際喜んでもらえたけど、(今後は)また別の伝え方をしていってもいいかなと。

 ―今回はあくまでひとつの試みとして「自然な形ですべてアレルギー除去食にする」というのをやってみて、いい形で期間中の料理を実現できた、ということですね。

そうですね。何がどう来ても、どう返せるかのスタンスがこっちにあれば大丈夫やなっていうのは今回あらためて思いました。

(今後)今年はたこキャンの食事どうしたい?どうする?ていうのは私ひとりが決める話じゃなくて、(参加者の)お母さんとかも含めて話せたらと思うし、料理も一緒にしたりとか、そんなふうにしていけたら。



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 去年(2022年)と今年(2023年)で特に印象に残っていることはありますか?

お米(ごはん)が、米どころの福島に比べると…という声があって、お米のチョイスもですけど、炊き方もあったのかなと。あの大きな炊飯器でどう炊けるのかなとかちょっと不安があって、今年は鍋で炊いてみたりとかいろいろ試して、ああこんな感じでいけるなってつかめました。

やっぱり少しでも不安があると料理に出るんですよね。失敗したらどうしようとか思ってると、その不安が料理に出る。自信をつけるのって大事やなって思いました。肩の力を抜くために、自信をつけていくしかない。…深いですよね、料理って。自分のあり方がすべてそこに出る、ていう感じで。

 ―たしかに…。去年もでしたけど、今年も参加した親子から「おいしい!」という声をたくさんもらいましたよね。それについてはどうですか?

私、自分の作ったものを母に「おいしい」って言われたこと、数えるほどしかないんですよ。

えっ!?そうなんですか?

家族って正直やと思うから、私は自分でそんなおいしいものを作ってるっていう自覚が…ないわけではないんですけど、特別何かおいしい、すぐれたものを作ってるとか思ってなくて。そうやって(参加者から)言ってもらえると「ああ、よかったな」って。私も自分で食べておいしかったし、まあそんな感じかな、と。(食べる人と)好みが似てたらいいな、ぐらいの。

 ―はあー。そうだったんですか…。

だから「おいしい」ってたくさん言ってもらえたら、「ああ、ありがとうございます」って。そんな感じです。ラッキー、くらいに思って。

(母という)一番近くにいるお客さまを満足させてない、みたいな気持ちがあるんですよね。

でも母も病気をして、私がいろいろサポートをしたり食のことを紹介したりとか、ほかの人が私のことを「一番身近に(食を仕事にしてる娘が)おるやん」て母に言ってくれたりして、ちょっと変わってきたかなと思いますけど。

自分がおいしいと思うことはまず大切なことですけど、そこにいる人が素直においしいと思えるものなのかというのはイコールではないということ。思いやりを持って考え尽くすのはもちろん、相手の「おいしくない」も知って受けとめて変化させて、そこにまた「おいしい」が生まれることが大きな愛なんだと、母とのやりとりでわたしが気づかせてもらったことです。だから、私の料理を食べた人から「おいしかった!」て言われると、「よかったね」って思います。「ありがとう。あなたがおいしくて、よかったね」って。



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 ―いやー、そうなんですね…。作って、出して、「どうだ、うまいだろう!」みたいなのはさえ子さんにはない、ってことですね。

自分で「これめっちゃおいしい!」て思うことはあります(笑)。「すごいおいしい、お店のやつみたいやん」て言ったら「お店やってたりするやん」て言われて(笑)。

 ―はははは。

もちろん自分の中に、仕事用に作る料理と家庭用に作る料理の線引きはあるんですよ。たこキャンで作る料理は、仕事用と家庭用の間くらいなイメージです。「よその人が作ってるごはんやけど、ほっこりする」って感じてもらえるのがいいのかなと。

 ―うーん。ほんとうにいろいろ緻密に考えて料理をしているんだなと、あらためて感じ入りました。

すごくダイナミックに生きたいんですけど、根が細かいので(笑)。

 ―いや、十分ダイナミックだと思います(笑)。ここまで緻密に考えて、準備して、その上でのフレキシブルさ、なんですね。

そうですね。みんなが思ってる準備とはちがう準備なのかもしれないです。焦らない準備というか。準備をしない準備、というと嫌な感じ(笑)ですけど、材料とかも揃えすぎて残ってしまうとか、手厚すぎると無駄になったりする。スケジュールを見て、足りなければここで近場に買いに行けばいいなとかリサーチはしておいて、事前に全部買っておくとかはしない。

 ―「準備をしない準備」って、もはや哲学か禅問答みたいですね(笑)。

ひとつ間違うと嫌味ですよね。あやしいし(笑)。


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◆これからやりたいこと◆

今後、たこキャンの食事担当としてやっていきたいことってありますか?

基本は今のままでいい感じがしてます。要望があるんだったら、料理教室っていうほどのものでなくて、何か一緒に生活をしてるっていう感覚で、自由に大人も子どもも料理するような…。親子でセットじゃなくて、行きたい人が行きたい人と誘い合わせて来てくれるようなのができたらいいですね。

 前にちょっと話してた、福島県内で《さえ子さんの一日料理教室》みたいなのができれば、参加する人たちも、キャンプ期間内とはまた違う動き方ができるかもしれないですね。

そうですね。今、私が仕事で、熊本で《リトリート》っていうのをやり始めてるんですけど…。

 《リトリート》?

 ふだんの生活の場からちょっと離れて、自然の中で過ごす。たとえば大阪で毎日仕事に追われて生活してる人が、そこから離れてゆっくりしようという…。旅行とは違って、ヨガとかでもよくあるんですけど、デトックスして心身ともにリラックスする期間を持つんです。それを、いろいろな人とともにやる、という。

 まさに《保養》ですね。

そうですね。たこキャンみたいな(笑)。

これはずっとやりたかったことで、なんでやりたかったかというと、初めて熊本に行ったときに自然もほんとにきれいで食べものもおいしくて、すごくリラックスして…そういうときに《自分がほんとにどうしたいか》ということが出てきやすいんやな、て感じたんです。

リラックスした、元気な状態で、自分がこうしたい、という気持ちが出てくる。熊本で仕事のあと延長してしばらくいたんですけど、ずっとここにいたいな、という気持ちになってきて、日常はここにもあるんや、と。この時間がすごい大事で、原動力になるなって思ったんです。ふだんの生活からいったん距離を置いて、元気になる場所。自分を作るもの、食べものであったり、体を動かしながらメンテナンスすること、それをしながら何を考えるかやなと。

東北も、原発事故があったからこうやってつながったわけですけど、その土地を知るってすごく大事なことやし、お互いに行き来しやすい環境を作っていきたいなと思います。何かきっかけがなかったら、他県で生活することってなかなかないですよね。暮らす、暮らしを知る、ていうことにやっぱり私はすごく興味があって、それはアメリカに行ったときも思ったんです。旅行でホテルに泊まるんじゃなくて、人の家に滞在させてもらってたので、ローカルな情報とか、いつもとは違う日常がそこにあるというか。食べものっていうのもすごく大きくて、そこにしかない食べものを知っていく。そして料理をする上で(自分の中の)敷居を低くしていく、っていうこともやり続けていくと思います。

たこキャンに来てる人たちも、来て滞在することでその土地を知って、そのことで自分の日常が少し楽になるかもしれない。楽しく、と言ったら言葉が軽いみたいですけど、本当の意味で楽しんで生きる、ていうことができたらいいなと思います。どんな状況であっても、自分の中に楽しさがあって、それを拡げていくことは、私自身どこの土地に行ってもやりたいなと思います。

 いやー、実に深いお話をありがとうございました。すごくおもしろかったです!

こちらこそ、ありがとうございました。なかなか自分の考えてることをまとめて話す機会ってないので、自分でもすごくおもしろかったです。

(了)


# by takocamp | 2024-03-06 16:09 | 保養のひろがり | Comments(0)

たこ焼きキャンプで食事づくりを担う、石井さえ子さん。

2011年の初回キャンプはボランティアとして参加し、2012年からは子ども担当スタッフとして活動。そのかたわら期間中の調理にもかかわり、2022年のリスタートからはキャンプ期間のすべての食事を担当しています。

今夏のたこキャンの様子をブログで見た方から、「食事がすごくおいしそう、食べてみたい!」「作っているのはどんな人?」という声を、たくさんいただきました。

そこで、今回はその石井さえ子さんにインタビュー!

たっぷり前後編でお届けします。

                             【インタビュー・編集 一海真紀】



―自己紹介をかねて、ふだんのお仕事について教えてください。

基本には衣食住に関わることをしたいというのがあって、心地よく生きていくために仕事を選んでいる感じです。

今は店舗は持っていませんが、暮らしを考えることが料理の目線でどう楽しくなるか、ということにポイントを当てて、料理の仕事をしています。


―たこ焼きキャンプとのなれそめは?

東日本大震災が起こって、衝撃が走って…。当時は大学を卒業して3年目で、今とは違う仕事をしていました。

もともと私は子どものころから、将来の夢とか何を仕事にしたいかと聞かれても、それよりも「こんな大人になりたい」という「大人像」…どっしりした、かっこいい大人、自分の正義をブレさせない、スーパーヒーローみたいなイメージがあって、じゃあそういう大人になるためには何の仕事をする?という選択の仕方を考えてたんですよ。


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2013年のたこ焼きキャンプ、明石公園のあさぎり寮にて。



―おもしろい。あまりそういう人っていない気がします。

そうですね。学生時代に就活が始まったときも、私は切り替えに弱いのか、気がついたらみんなさっさと就活に行ってるみたいな(笑)。そのときにすごく違和感を感じて。そんな感覚で自分が就活に入っていくのがちょっと嫌やったんです。学校の先生になりたくて教員免許は取ってたんですけど、学ぶ過程でほんまにこれがしたいんかな?とも思ってしまって。


 ―高校の、家庭科の先生ですよね。

そうです。ただ、そのあと教育実習に行ってみて、「あ、やりたいことはここやな」と思って。でもそこでそのまま教員採用試験を受けるというところには行かなくて、実習は本気でやるけどその年の採用試験は受けないと決めて、教育実習の短期間でどれだけ子どもらと関われるか、自分ができるマックスをやろうと思って、勉強もしてコミュニケーションも取って、寝ないくらいでやってました。

そのとき、人と関わる仕事ってそういうことなんちゃうかなってすごく思って。自分のできるだけのことを私はしたい。それは自分が創意工夫して努力していたらできると、すごいやり切った感で実習を終えました。


 ―そのあとの大学卒業後、次の教員試験を受けるまでの一年はどう過ごしてたんですか?

母校の高校で、非常勤講師で家庭科を教えることになったんです。非常勤でけっこう時間があるので、これまでやってなかったことを何かしたいな、《衣食住》というのは自分の中にずっとあったので、それに関わることで何か探そうと思ってたときに、スカウトにあったんですよ。


 ―おお、そのタイミングで。

そうなんです。ただ私はこれまで学校決めるときも勘というか、「ここ来年も(自分が)おるな」ってピンとくるものがあって決めて、実際によかったという経験を積んでたので、スカウトされたモデル事務所以外も受けてみて、ここいいな、というところを選んで入った、ていう感じです。

(モデル業を)やりはじめたらおもしろくて、没頭してやってたんですけど、私の体質と勧められる体調管理やダイエットが合ってなかった。食べたものもマネージャーに全部報告して、どう変えていったらいいかとか…仕事はもらえて順調でやりがいはあって、アスリートみたいな世界で、どうやったらできるようになるかを追求するのはおもしろかったんですよね。ただ、気づかないうちにどんどん疲れというか、身体に不調が出始めて。そのころにちょうど(東日本の)震災の時期が重なるようなところもあって。


 ―そういう時期に震災と原発事故が起きたことは、さえ子さんの中で、とても大きなことでしたか。

モデルの仕事も、自分のなりたい大人像に近づくために役に立つと思ってやってて、肝が据わるというか、いい経験になったと思うんです。その反面、これってどこまで続けるんやろ?ていうのも出てきてはいて…。

《衣食住》の衣、服のこと布のことなどいろいろ学べて、表現することのおもしろさもあって、終着点は見えないけど、このまま続けて東京に進出しようと決めたんです。やりたいことをできるときにやっておこうという気持ちもあって。東京に行く準備も全部できて、いざ!ていう春に、震災が起きたんです。


 ―どう感じましたか。

私、命をかけてこの仕事したいんかな、と思ったんです。なんであろうと絶対にやるっていう意思がそこにはなくて、楽しさとか挑戦、やりがいはあったんですけど、でも命をかけてやっているのかと問われると、違うなと思って。

で、いったん止めようと思ったんです。「気づいてしまった」みたいなところもあって。それで、もしほんとにやりたいことなら、また熱が戻ってくるやろうと思って。震災で一気に芸能系の仕事がなくなって、自分もやめることにして、ほんとにそのとき、全部を手放すということをしました。


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2013年、キャンプ中に子どもたちと。



 ―そこからアメリカに行くんですね。

やりたいと思ってたことの中に海外に行くというのも入ってたので、ロスアンゼルスに住んでた友だちのところを拠点に、英語や(前からやっていた)ダンスを習ったり、自分でプログラムした留学みたいな感じでした。

で、行ってみると(自分の)興味は全部そこに集まっていたという…。食のこと、健康とか美容のこと、自然食のお店も多くてすごく進んでて、情報もいっぱいあったんです。


 ―2011年の震災と原発事故があって、モデルの仕事をやめて、いったん全部手放したからこそロスアンゼルスに行って、そこでいろんなことがつながったという感じですね。

私、あんまり執着というものがなくて、気持ちとか縁があれば、同じところではなくてもまた戻ってくるやろと思ってるんですね。その世界に必要がなかったら戻らないでしょう、そのどちらもあるやろうな、ぐらいに思って離れたんです。

で、ロスに行ってみたら「私、ほんまに好きなんはこういうことやな」と思ったんですよ。自分をきれいに見せるというのも、(モデルのときは)作ってるというか整えて、仕事やからきれいにしとく、そのためにトレーニングする。仕事に持ちもの持っていくくらいの感覚でいたんですよ。


 ―《きれい》が、ある意味仕事道具みたいな。

そうですね、仕事道具というか、相棒みたいな感じで。ふつうに生きてたらこんなことしないんちゃうかな、ということをして、髪も同じイメージ付けのために伸びたら切る、とかしてたのを、ああもうしなくていいんや、これからどうしていこうかなって思って。

私の場合、別に縛られてストレスがすごくあったわけではないんですけど、(ロスに行ってみて)自分のほんとに好きな、別の表現がある気がして。

ダンスも、筋肉がつきすぎるからと制限されてたのを、ロスでは思い切りできてすごく楽しかったんですね。料理のことも、自分の興味のあることをどんどん見ていったら、人をケアすることにつながる、食べることが治癒になる。

私、合理的なのが好きなのかもしれないですね。ただただ食べるんじゃなくて、その結果どうなるか、何がどうつながっていくかに当時すごく興味・関心があったんです。意味があってそれを食べる、ということ、食べること自体がうれしくなるような食事である、ということ、その二つが私の中でそろったな、ていう感じで、こういうことを仕事にできたらおもしろいな、と思ったんです。

人に伝えたり教えたりするのも好きやったんで、今やってるような仕事をやりたいと思い始めたのが、そのときでした。


 ―聞いていると、ほんとに一気にいろんなことが続けて起きて、すごい変化があったんですね。で、そこからたこ焼きキャンプにつながってくる…。

ロスで、(これからやりたい仕事を)決めた、これや、というのがあって、日本に帰ったのが7月やったんです。何か(思うような仕事)をすぐ始める、と思ったときに、その前に、ちょっと待てよと。

私、この震災ですっごい変わった。生き方を考えたのは、(震災時に)テレビで映像を見てザワザワした何ともいえない感覚になって、今日という暮らしが明日こうなる、ていうのは自分が直接被害にあってないからこそそう思える。ぼうっと生きてんな、こういう生き方でいいんかなと思って、そこから動き出した。(変化を経て)こういう仕事がほんとにやりたい、と思えたことのきっかけは、そこにある。

…私、何かでけへんかなと思ったんですよ、震災にかかわる何か。原発事故も大きかったです、私の中では。生まれた日がチェルノブイリの原発事故が起きた日なので、それもあって。でも、大変な状況の中で自分にできること、前向きにできることは何やろう、というとこから、ボランティア活動をしたいと思ったんです。

現地に行くのはむずかしかったので、いろいろ検索してたら、《保養キャンプ》というのが出てきて。「ああ、受けいれる側というのがあるのか」と思って、そのときはボランティア募集してる保養キャンプは千葉しか見つけられなかったんですよ。そこに行くつもりにしてたんですけど、そのあと(検索してたら)ポンってたこ焼きキャンプが出てきて。関西でもあるんや、明石やったら日帰りで行けるなと。

で、怪しくない者であることを伝えないといかんなと思って(笑)くわしく自分を説明するメールを送ったら、すぐに「オッケーです!」みたいなザックリした返信が来たので、逆に大丈夫かなと(笑)。こんなんやったら変な人も来てへんかなって心配になって。


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2013年。子どもたちに大人気のスタッフに



 ―心配されてた(笑)! 震災の年は、ものすごい数のボランティアの応募があって、こちらも保養キャンプというものを始めたばかりで全然スキルがなくて、とにかく応募が来たら「どうぞどうぞ」ていう感じでした。

私はそれまで審査され続けて生きてきてたんで、自分の情報、「こういう者です」ていうのを事細かに送らないといけないと思ってたんです。


 ―なるほど…。やっとさえ子さんとたこキャンが出会うところまで来ました(笑)!震災と原発事故は、やっぱりさえ子さんにとっては大きな転機になったんですね。

私にとっては人生のすごい大きいターニングポイントになりました。


【インタビュー後編は近日アップ予定です。お楽しみに!】


# by takocamp | 2023-10-22 20:42 | Comments(0)
今年の「たこ焼きキャンプ☀家族で夏休み」が無事終了して10日あまり。
9月2日、スタッフ・ボランティアが集まり、ふりかえりミーティングをおこないました。
2019年までたこキャン期間中の宿舎として使わせていただいていた、なつかしい建物です。

まずは今年の「たこ家族」のブログで写真を見ながら、全体のふりかえり。

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そのあと、終了後にいただいた参加者からの感想や、ボランティアさんから寄せられた感想を共有しました。
そして期間中に感じたこと、気づいたことなどをひとりひとり語ってもらいました。

今回は、コロナでの中止後、家族保養の形でリスタートして2年目。
家族での保養の良さというものをあらためて実感した、という意見も多く聞かれました。
家族での受けいれになったからこそつながれた、というケースもあり、親子参加の意義やおもしろさも感じることができた今年でした。
今回も小さい子たちがすぐに仲よくなり、あとから参加したスタッフは、どの子がきょうだいなのかまったくわからなかったそうです。

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参加者からも泊まり込んだスタッフ・ボランティアからも、そしてブログを見た多くの方からも大好評&絶賛だった、さえこさんのごはん。
アレルギーなどに細心の注意ははらいつつ、みんなが区別なくおいしく食べられることを大切に。
子どもたちも好き嫌いなく、たくさん食べてくれました。さえこさん自身も、今後につながる経験を積めたといいます。

今年は結果的に学生ボランティアの参加がなかったのは残念でしたが、たこキャンOG・OBにボランティア参加を呼びかけることも含め、来年も引き続き働きかけていこうということになりました。
コロナ前とは規模も形も大きく変わりましたが、今の自分たちができることを、できる範囲で続けていく。
早くも来年の話が始まっていた、ふりかえり後半でした。

大変なことがあっても、ほっと気が抜ける場所がたこキャン。山あり谷ありでも、なんとかなる!
という名言でしめくくられた今年のふりかえりミーティング。
いつものお好み焼き屋での打ち上げで、マスターは充実の表情☆
(とにかく《とてもいいたき火》ができたことが良かったそうです!)

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あらためて、今年の「たこ焼きキャンプ☀家族で夏休み」を支えてくださった多くのみなさんに、心からお礼申し上げます。
おかげさまで、こうして福島のご家族とまた新たにつながり、楽しい日々をともに過ごすことができました。
参加してくださった家族のみなさんにも、ぜひまたお会いしたいです!
また次の活動に向けて、スタッフも英気を養っていきます!

# by takocamp | 2023-09-04 16:08 | たこ焼きキャンプ2023 | Comments(0)
たこ焼きキャンプ☀家族で夏休み、最終日の朝となりました。
食堂のこんな光景も、すっかり日常のよう。

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ねえ、たこキャンのたこさん!パズルをもう一度コンプリートさせてよ~
ねばり強く、今朝も挑戦中。

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さて、みんなのエネルギー源になってきた、さえこさんのおいしいごはん。
最後の朝ごはんも、こんなに色とりどりで栄養たっぷり!
トマト入り肉じゃがも絶品ですよ~
 ※今回、「生活協同組合コープ自然派兵庫」から多くのご支援をいただきました。ありがとうございました!

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どのおかずを食べようかな?
このあとの出発にそなえて、たくさん食べてね!

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このごはん風景もラスト。
なんだか名残りおしいです。
みなさん「おいしい!」と言って、毎回たくさん食べてくれました♪

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子どもたちが昨夜生地を混ぜたケーキが、焼きあがっていました。
おいしそう!
ボランティアさん手作りのブルーベリージャムを添えて、召し上がれ~

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気をつけて帰ってね。
マスターと、そっとごあいさつ。

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出発の時間差があるため、ここでお別れの家族もいます。

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楽しい時間を胸に、ひとまずはさよならです。

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ずっと手を振りながら、出発。

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最後まで…
手を振りながら…

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お別れは涙、涙になった子も。
最後は涙こぼれるママも。
たった4日間だったけど、それぞれにとても大切な時間でした。
参加した子どもやおとなの心の奥に、たこキャンでの日々が、ちいさな光として残っていってくれたらと願います。

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バス停にて、スタッフとはお別れです。
楽しい日々をありがとうございました!

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一路福島県へ帰る家族、もう少し関西に残ってのんびり過ごす家族、別の保養に移る家族など、このあとの行き先はさまざま。
どうか元気で、残りの夏を過ごしてください!

こうして、「たこ焼きキャンプ☀家族で夏休み2023」は無事終了しました。
台風の影響はあったものの、事故や体調不良もなく、最後までみなさんが元気に過ごせたことに、心からほっとしています。

コロナで休止していた期間、保養はもう必要がなくなっているのでは? たこキャンはもう役目を終えたのでは? という思いにも、とらわれることがありました。
でも、昨年初めて家族単位での小規模な保養の形でリスタートしてみて、原発事故後に生まれた子どもたちやその親御さんの中にも、保養のニーズが確かにあることを実感しました。

そして、親子保養として2回目の開催となった今年。
福島県からはるばる参加してくれた、4組の新たな家族との出会い、そして新たな発見がありました。
今回の参加者の中には、保養というものの存在を知らなかったり、もうとっくに子どもたちのための県外保養は終わっていると思っていた、という親御さんもおられました。
けれどさまざまなきっかけで保養の活動が今も続いていることを知り、今回わたしたちとつながってくれたのです。
また、これまでいろいろな保養に参加してきた中で、親子保養になったからこそ初めてたこキャンに参加できた、という家族もありました。
子どもたちのために、という思いで、それぞれによりよい行動を考え、日々を過ごしているママやパパたち。
その思いに触れることは、わたしたちにとっても、とても大切なことです。

東日本大震災と原発事故から、12年あまり。
その年月をへてなお、多くの影響は残り続けていると感じます。
わたしたちにできることはほんとうにわずかでも、あきらめずにできることを続けていきたい。
あらためてそう思うことができた、かけがえのない4日間でした。

「たこ焼きキャンプ☀家族で夏休み2023」に参加したみなさん、そして支えてくださったすべての方に、心からの感謝をこめて。
またきっと、お会いしましょう!


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# by takocamp | 2023-08-26 19:00 | たこ焼きキャンプ2023 | Comments(0)
今年のたこ焼きキャンプ☀家族で夏休み、もう後半に入りました。
3日目の今日は、みんなが楽しみにしている交流会(別名、おまつり)があります。
コロナ休止前、子ども主体でキャンプをやっていたころは、毎年必ず「夏まつり」として子どもたちが出店のアイデアを出し、自分たちで運営し、ステージでダンスを披露したりしていました。
今はそんな大規模なことはできませんが、子どもたちにも親御さんにも、ちょっぴり夏まつりのワクワクを感じてもらえたらと思っています。
さて、今年はどんな交流会になるのでしょうか…?

子どもたちは、朝から元気いっぱい。
お互いすっかり仲よくなっています。

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ブログを見てすでにお気づきの方もおられると思いますが…
今年も初日からたこキャンTシャツは大人気で、お買い上げいただいてすぐ着用、というパターンであちこちにいろんな色のたこキャンTシャツが♪
ママやパパが着ると誰がスタッフかわからない、という楽しいことになっています。
在庫がかなりなくなり、たこTはいつしか希少品になりつつある…⁉

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さて、今年のさえこ食堂、お品書きが出るようになりました。
これもほんとのお店みたいで楽しい♪

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さえこ食堂のお得意さまナンバーワン、それはワタシ!

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ぼうしのおっちゃんは、いろなことを知っています。
庭に来た子どもたちに、セミが地上に出てきた穴を教えてくれました。

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あきることなく、虫取り。
小さな蝶や、黒トンボも飛んでいます。

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自然のものを使って、すてきなオブジェづくり。
アーティスト誕生♪

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交流会に向けて、なつかしい顔が集まってきました。
ずっとたこキャンを支えてきてくれた、生活担当や子ども担当のボランティアさんたち。
転勤先の遠方から、この日のために駆けつけてきてくれた人も。
おひさしぶりです!

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交流会の打ち合わせ。
出店は、炭火焼き、たこ焼き、焼きそば、かき氷、飲みものなど。

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看板書きは、子どもたちといっしょにやりました!
かわいいカメのイラスト♪

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こちらは、焼きそばチームのみなさんです!
風格が漂っております♪

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少し陽がかげってきて、いよいよ交流会のはじまり、はじまり~

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マスターもうれしそう。
いい時間になりそうです♪

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受付はこちらですよ~♪

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参加家族をはじめ、スタッフ、ボランティア、ゲストの方たちなどをまずは紹介。

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こちらは、かき氷。
チーフはパパが担当してくれました。

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僕もがんばって氷削ってます!

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さえこさんの手作りシロップをかけて…
気分は、ほんもののかき氷屋さん!

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おいしいたこ焼き、もうすぐできますよ~
やっぱり、たこ焼きキャンプにはこれがなくちゃ!

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焼きあがったアツアツのたこ焼きをゲット!

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パパといっしょでうれしいね~♪
パパも楽しそうです。

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「わたしのサイズが、もうありませんね?」
淳心の家の管理人、ムシェ神父さん。ちょっぴり残念そう…
たこキャンTシャツ、着ていただきたかった!
今年もほんとうにお世話になり、ありがとうございます。

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こちらは炭火焼きチーム。
暑い中、ひたすら焼き続けてくれています。
お疲れさまです!

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奥まった玉座には、かわいいクイーン。
次々と貢ぎものを受け取ってはお召し上がり。

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マスターが新曲を披露したあとは、ボランティアさんの弾き語りも。
いい感じに少しずつ夕刻が近づいてきます。

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交流会がゆるゆるとお開きになっていき、お次はこれ。
子どものたき火です。
昨日とちがって、今日は子どもが主役のたき火なのです。
マッチを自分でつけて、薪に点火し、火を育てる。

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しっかりと燃え上がりました!

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自分たちでおこした火を使って、今度は花火。
子どもたちの眼がきらきら輝いています。

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たき火と花火を終えて、室内に戻るとまだお楽しみが。
明日の朝に食べるケーキ、みんなで生地を混ぜて作りました!
おいしい生地の味見も♪ 朝ごはんが待ち遠しいね~

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せっかくコンプリートしたチョコレートのパズルが落ちてばらばらになってしまったため、リベンジ!
みんな見守ります。がんばれ~

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夜にやってきた新たなスタッフと、ママパパでナイトタイムがはじまりました。
おとなの時間に「何やってるの?」と、かならず子どもはやってくる。
これも楽しい瞬間です。

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もう、明日にはみんな出発していきます。
ほんとうにあっという間の4日間…
帰路につく家族、別の保養に行く家族。
名残りおしい思いを胸に、おやすみなさい。

最終日のレポートも、どうぞお楽しみに!

# by takocamp | 2023-08-25 19:00 | たこ焼きキャンプ2023 | Comments(0)